「混乱はしなかった」7年前の熊本赤十字病院 海外被災地で培った力
杉浦奈実
熊本市東区にある熊本赤十字病院の地下には、数多くの木箱や、白い布に覆われた箱がひっそりと並んでいる。国際赤十字の救援チームが災害の発生時に使う「緊急対応ユニット」(ERU)の資材だ。
平時は目立たないが、ひとたび災害が起こるとここから日本の各地、そして海外にも運ばれていく。
7年前の春、熊本を震度7の揺れが2度襲った。
病院は、震源から10キロと離れていない。建物のあちこちがひび割れ、壁に釘で固定していた棚が倒れるなどの被害を受けた。
ただ、診療機能は辛うじて維持できた。近くの医療機関の多くが診療できない状況に陥るなか、病院には割れたガラスで出血するなどしたけが人が押し寄せた。
断水などライフラインの途絶、ふだんの何倍もの患者、長期化する活動……。
地震を乗り切った三つのポイント
そんな厳しい環境に追い込ま…