南阿蘇でただ1人の集落支援員 忘れられない言葉、復興支えた7年

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東野真和
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 自宅は全壊し、村からにぎわいも消えた。それでも、大切な故郷をまた必ず元気にしたい。2度の震度7に見舞われた熊本地震から、14日で7年。熊本県南阿蘇村でただ1人、集落支援員を務める住民は被災者に寄り添い、残された課題と向き合い続けている。

 阿蘇の山々に囲まれた南阿蘇村の黒川地区。北里かおりさん(52)は3月初め、古庄幸男区長(68)とヤマメの養殖について話し込んだ。地震後に地域を活性化させるため、北里さんが立ち上げから関わっている事業の一つだ。「稚魚も飼料も値上がりした」と困り顔の古庄さんに、「安く買えるところを探してみましょうか」と声をかけた。

 2016年4月16日の本震で、激しい揺れが村を襲った。別の地区にあった北里さんの自宅も全壊。家族は全員、外にはい出して無事だったが、陶芸家として拠点にしていたアトリエの床にひびが入り、使えなくなった。両親らと空き家を借りて暮らし始めた。

「やってきたことが、ゼロになった」

 村の被害も深刻だった。黒川…

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