中銀グループが再生エネ事業参入 取引先に太陽光パネル→電力使用料

小沢邦男
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 【岡山】中国銀行持ち株会社・ちゅうぎんフィナンシャルグループ(FG)が、太陽光発電など再生エネルギー事業を手がける新会社「ちゅうぎんエナジー」を設立した。取引先に無償でシステムを設置して運用、保守を担い、発電した電力を買ってもらうPPA(電力購入契約)事業を展開。地域の脱炭素化の推進を図る。

 PPA事業では、取引先の企業や自治体の屋根などに、無償で太陽光パネルを設置。設備の運用・保守を担う一方、生み出した電力の使用料を受け取る。ちゅうぎんエナジーは10年以内に500施設での導入を図り、全体で原発の0・1基分に相当する100メガワットの発電を目指す。

 国の再生エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の期間を終えた発電施設を買い取り、電力会社などに売電する事業も検討。再生エネルギーの地産地消化を図る。自治体による新電力会社設立も資金面だけでなく、事業計画策定から協力する。すでに西粟倉村と計画を進めている。蓄電池を活用した事業も視野に入れている。

 銀行は2021年の銀行法改正で、子会社を活用して地方創生に貢献する異業種への参入が可能になった。それを受ける形で各地の地銀で再生エネルギー事業への参入が相次ぐ。中国地方では山陰合同銀行島根県)が昨年、銀行として初めての参入を発表した。

 中国銀行は昨年10月に持ち株会社に移行。新会社のちゅうぎんエナジーはFG内の投資専門子会社が全額出資。中銀本店内に本社を置き、当面は中銀から出向した7人で運営する。資本金は1億円。新事業を募る社内ベンチャー制度で若手社員が提案したアイデアがもとになったという。

 会社発足の3日に記者会見を開いたFGの加藤貞則社長は「銀行としては経験値が足りない分野への挑戦。コンサルティングから一歩踏み込み、当事者として地域の脱炭素化に向けてリスクをとる」とあいさつ。ちゅうぎんエナジーの松岡信一社長は「脱炭素は今後絶対に取り組まなければいけない分野。コスト面を心配する中小企業の経営者は多いが、ビジネスチャンスとして取り組むためのお手伝いを進めていく」と話した。(小沢邦男)

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