「今や悪人扱いなので」 高市氏、動けなかった保守分裂の奈良知事選

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上田真美 米田千佐子 榧場勇太
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 「保守分裂」となった奈良県知事選は、高市早苗・経済安全保障担当相が自民党奈良県連会長として擁立を主導した自民県連推薦の元総務省課長の平木省氏(48)が、日本維新の会の元同県生駒市長の山下真氏(54)に敗れた。自民は危惧された通り、知事5選をめざした荒井正吾氏(78)と支持が割れた。高市氏は選挙の陣頭指揮を執れず、9日夜も奈良には行かなかった。「県連会長でありながら、国会答弁に追われた上、高熱が続き、張り付きで応援することができませんでした」とおわびするコメントを出したが、これから敗北の責任を問われることになる――。

 4月7日夜、高市氏は永田町での公務を終えるや、飛行機に飛び乗った。知事選期間中で初めて奈良に戻るためだ。投開票が9日に迫るなか、最終盤になってようやく奈良入りができる状況になった。

 「いろんなことがございました。ほいほい乗っちゃった私がアホやったんですが――」

 平木氏の決起集会に駆けつけた高市氏は、昨秋に周囲からいかに熱心に請われる形で県連会長に就いたか、そしてこの保守分裂選に至るまでの経緯も含めて約15分間、語り続けた。

 「なんとか、なんとか荒井知事の名誉を守りたい。その一心でやってきました」

 高市氏が総務相当時に秘書官を務めた平木氏への応援を呼びかけながら、いかにして荒井氏との意図せぬボタンの掛け違いが起きたのか、自ら説明したかったことをすべて詰め込んだ。そして、演説を終えるとすぐさま空港に向かって帰京した。

 「やっぱり高市氏が来てくれると盛り上がる。放送法問題が影響して、選挙戦の最初のころが一番きつかった」と演説を聞いた県連幹部は胸をなで下ろした。

 「票を減らすので奈良入りはできません。今や世の中では悪人扱いですので。東京で不在者投票に行きます」

 知事選が告示された日の翌3月24日、高市氏は、放送法の政治的公平性をめぐる総務省の行政文書問題で国会で連日追及を受けるなか、そう周囲に自嘲気味に語った。

支援の当て外れ 維新は連日幹部入り

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 2日後、知事選初の「選挙サ…

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    プチ鹿島
    (時事芸人)
    2023年4月13日14時25分 投稿
    【視点】

    高市氏が「遂に」登場したこの決起集会、私は会場で見ていました。高市氏が自分で推し、総務相時代に秘書官を務めた平木氏の応援に一度も来ないなんてことあるだろうか?なので一度は来るだろうと。姿を見せるとしたらラスト金曜のこの集会だと思って奈良まで

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    笹川翔平
    (朝日新聞政治部記者=政権、国会)
    2023年4月9日21時6分 投稿
    【視点】

    事前に予想された通り、維新にとって画期的な勝利が確実となりました。維新は奈良県議会でも第1会派を狙っており、そうなれば公認首長と議会多数派を握って「維新政治」を築いた大阪の再現となることから、結果が注目されます。 ただ、報道各社の出口

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