旧海軍の取水場を廃止へ 広島市から呉へ30キロ送水、日鉄の閉鎖で

能登智彦
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 今秋に予定されている日本製鉄(日鉄)の広島県の瀬戸内製鉄所呉地区の閉鎖で水道の利用が減るとして、呉市は太田川の取水施設「戸坂(へさか)取水場」(広島市東区)を廃止する方針を決めた。1944年に竣工(しゅんこう)した旧海軍の施設で、水の安定供給のため呉市の浄水場まで延長約30キロを送水していた。

 呉市によると、戸坂取水場の敷地面積は約3千平方メートル。現在は1日最大2・3万立方メートルを取水している。戦時中は軍の関係施設などに利用されたが、敗戦後の53年に市は国から譲渡された。今年10月に停止し、市は年間約1億2千万円の維持管理費を削減。施設も撤去する予定だ。

 呉市では戸坂以外にも水源があり、用途別に県からも受水している。市の人口減少が進む中、大口利用者の日鉄の閉鎖方針が決まったことから、市は水源や水量の見直しを迫られていた。市は「市民に必要な水量は別の水源の利用などで確保する」としている。(能登智彦)

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