復興スタジアム収入3.4倍も赤字続く コロナで民営化方針も揺らぐ

東野真和
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 東日本大震災からの復興の象徴として建設され、ラグビーW杯の試合も行われた釜石鵜住居復興スタジアム(岩手県釜石市)の運営委員会が3月30日、釜石市内であった。コロナ禍が徐々に落ち着き、利用が増えたが、年間3千万円以上の市負担が続く。市はこれまでスタジアムを民営化する方針だったが、可否について「2025年度中に判断する」と軌道修正した。

 22年度、スタジアムはラグビーの女子日本代表が合宿や試合に使うなど「冬場以外は、土日はほぼフルに利用された」(市の担当者)。その結果、ラグビーの試合や練習による利用が63件、ラグビー以外のスポーツ利用が18件あり、利用者数は21年度に比べ約2割増えた。利用の増加に伴い、収入は21年度の3・4倍の894万円に達した。

 一方で維持経費が4千万円かかり、市負担となる管理費は収入との差し引きで3106万円に上った。21年度と比べて約500万円減ったが、委員からは「すでにフルに利用しているのにこれ以上どう収入を増やすのか」と質問が出た。

 市の担当者は「平日も使う合宿の利用を増やしたい」と答えた。22年度は2582人が合宿で利用したといい、「1泊で1人1・5万~2万円使うとすれば、市内には年間何千万円もの経済効果がある」として、トレーニング機器を拡充し、全国のラグビー強豪校に働きかけるとした。

 市は当初、21年度に民営化する方針だったが、コロナ禍では引受先を探すのは困難だとして延期していた。担当者は民営化するかどうかも含めて25年度中に判断する考えを示し、「東京五輪で建てた施設も軒並み赤字で、引受先が見つかるかどうか」と述べた。

 また、この日の会議では、3月5日に釜石シーウェイブスの試合を組み込んだことに異論も。同日実施された一斉津波避難訓練と重なったためで、委員から調整すべきだったと苦言を呈される場面もあった。東野真和

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