タワマン、歩行者天国の道路も 登戸・向ケ丘遊園の区画整理が大詰め

佐藤英法
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 【神奈川】長期化していた川崎市多摩区の登戸土地区画整理事業が最終段階を迎えている。川崎市によると、区画整理の対象となる宅地の9割超で交換先の土地が決まった。区画整理事業とは別に、商業施設も入る38階建てのタワーマンションが建設される計画もあり、市北部の拠点の街並みが変わろうとしている。

 この事業は、JR南武線と小田急線が乗り入れる登戸駅と、隣の小田急線向ケ丘遊園駅の周辺の木造住宅密集地を改善しようと、1988年に着手された。施工面積は約37ヘクタールに上る。建物を壊して移転させ、宅地を整備するほか、道路もつくる事業だ。

 向ケ丘遊園駅の駅前広場は約1800平方メートルから3倍の約5400平方メートルに広がるほか、公園は3カ所(計約6500平方メートル)設けられる。

 当初は総事業費約187億円で、93年度に完了予定だった。しかし、移転対象の建物が多いことから事業は難航。計画は変更を繰り返し、6回目を数える。総事業費は約994億円にふくらんだ。

 事業費が膨らんだのは、移転の補償基準単価や労務単価が上昇したことなどが理由だという。移転や道路整備は2025年度の完了をめざしている。

 地権者らによる再開発事業も並行して進んでいる。登戸駅前では38階建て高さ約140メートルのタワーマンションの建設計画がある。デッキで駅と直結し、4階までは商業施設が入る。市によると、向ケ丘遊園駅前にも地上25階建てのマンションが建つ予定だという。

 もう一つ、住民が関心を寄せているのが市道「登戸2号線」だ。登戸駅前と向ケ丘遊園駅前を結ぶ全長約400メートル、幅員16メートルの道路ができる。

 市は、住民とともに実際にテーブルセットを並べたり、キッチンカーを置いたりして、道路の有効活用を探る社会実験ワークショップを重ねてきた。

 その結果、沿道の建物は1階に店舗、2階は住宅という路面店が並び、休日は歩行者天国にする将来像を描く。両駅前の広場や市道は無電柱化を進め、両駅の間に回遊性を持たせる構想だ。

 区役所通り登栄会商店街振興組合の三平雅美理事長(60)は「かつてこのあたりにはあぜ道を広げたような細い道がくねくねとあった。30年以上かかってようやくたどりついた」と語る。商店街を運行していた路線バスも別の道に移った。「歩行者にやさしい、買い物がしやすい通りになる」と期待している。(佐藤英法)

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