モンベル福島1号店は田部井さんの故郷・三春に 来年度の開業めざす

斎藤徹
[PR]

 アウトドア用品大手のモンベル(大阪市)の直営店「モンベルストア」が、福島県内に初進出する。場所は三春町で、来年度中の開業を予定している。町は滝桜と並ぶ観光拠点として、アウトドア環境の整備を進める方針だ。

 3月15日にモンベルの辰野勇会長兼CEOと三春町の坂本浩之町長が、オンラインで基本合意を結んだ。農産物直売所やレストランがある「三春の里田園生活館」に隣接する町有地に、町が拠点施設を建設し、モンベルが運営する。

 拠点施設は木造2階建てで延べ床面積は約1500平方メートル。モンベルストアはこのうち約1千平方メートルで、残りのスペースは、観光案内やレンタサイクルの貸し出しをするビジターセンターが入る。

 両者は昨年2月にアウトドア活動を通じた地域活性化を目的とする包括連携協定を結んだ。協定に基づき、モンベルはアウトドア環境創出に向けた基本構想を町に提案。町は構想を段階的に進めることを検討し、まずは拠点施設を整備することを決めた。

 町は施設の建設費約7億5千万円を補正予算案に盛り込み、3月の定例町議会で可決された。2024年度中の開業をめざしている。

 拠点施設は三春ダム(さくら湖)に近いことから、湖畔にカヤック基地とキャンプ場を整備する計画も進める。

 高い集客力があるモンベルストアの県内1号店の進出を三春町にした理由について、辰野会長は、カヌーやカヤックが楽しめるダム湖やトレッキングに適した山が近いこと、人口が多い郡山市に近いことなどを挙げた。

 ただ何よりも、世界的な登山家として知られた故・田部井淳子さんの出身地であることが大きな要因だという。

 登山家でもある辰野会長は「田部井さんとは生前親しくさせてもらった。拠点施設には、田部井さんの功績を後世に伝える役割を持たせたい」と話した。

 町は、滝桜が咲く春には10万人の観光客が訪れるが、ほかには観光資源が少なく、通年観光が課題となっている。

 坂本町長は「モンベルの力を借りて、福島のアウトドアの活動拠点に育てていきたい」と話した。(斎藤徹)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません