国宝「曜変天目」を独り占め 布製「ぬいぐるみ」なのにヒットの理由

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石平道典

 世界に三つしか現存しないとされる国宝の茶碗(ちゃわん)「曜変天目(ようへんてんもく)」を再現した布製グッズが話題を呼んでいる。所蔵する静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2丁目)がミュージアムショップで発売するとSNSで話題となり、注文予約が殺到、販売を一時休止するまでになった。

 茶碗と「ぬいぐるみ」の異色の組み合わせは、なぜヒットしたのか?

 「曜変天目ぬいぐるみ」と名づけたグッズの販売が再開された3月21日、午前10時の開館前には、正午に配られる整理券を求める列ができた。1人1個、1日10個の限定販売。価格は税込み5800円。

手のひらサイズ「ずっと見ていたい」

 神奈川県綾瀬市の会社員坂内恵理さん(33)は同8時20分ごろに並んだ。4年前に実物を見て、「お碗の中に宇宙を閉じ込めたみたいにキラキラ輝き、感動した」。ぬいぐるみの話題を知り、販売再開を待っていたという。

 「大好きな国宝が自分の家にやって来た感じ。ずっと見ていたいですね」。購入後、両手で包み込むように眺めていた。

 ぬいぐるみの最大の売りは「ほぼ実寸」なことだ。同館所蔵の曜変天目は高さ7・2センチ、口径12・2センチ。闇夜に星々が輝くような斑紋の美しさから人気が高い国宝の茶碗が、手のひらにちょうど収まる。

 同館副館長で美術史家の安村…

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この記事を書いた人
石平道典
東京ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
地域取材、東京23区、教育、文化