第4回海外でも日本でも地方議会は「なり手不足」 その理由と対策を考える

有料記事問われる地方自治2023

聞き手・岡田玄

 統一地方選が始まりました。しかし、候補者が定数に満たない「なり手不足」が問題となっています。埼玉県を足場に主権者教育に携わりながら、世界の選挙動向を調査してきた原口和徳さんは「なり手不足は、日本だけの問題ではありません」と指摘します。なぜ、地方議会ではなり手不足が生じてしまうのか。日本特有の問題はあるのか。有効な解決策はあるのか。聞きました。

 ――地方政治で、なり手不足や無関心が広がっています。日本特有の問題なのでしょうか。

 「いいえ。地方政治のなり手不足が問題なのは日本だけではありません。調査したアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなどでも起きています。例えば、ニュージーランドでは、地方選挙の2割が無投票で、14議席で欠員が生じていました」

 「なり手不足だけでなく、投票率が国政選挙と比べて低いのも、日本と同じでした。同じくニュージーランドを例に挙げると、2020年の国政選挙の投票率は82%でしたが、前年にあった地方選では42%にとどまりました。22年の地方選は推計で36%です」

1982年生まれ。埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク代表、けんみん会議メンバー。会社員として勤務する傍ら、埼玉県を中心に地方政治を通じた市民性教育や主権者教育に取り組む。インターネットサイト「選挙ドットコム」で、選挙にまつわるコラムを執筆。

 「選挙制度や文化、慣習も違うため、原因は特定しにくいです。ただ、地方政治の情報不足と閉塞(へいそく)感は、どの国でも共通していると言えます」

指定席化する地方議会にあきらめ

 ――アメリカだと、新聞離れによる地方紙の廃刊で「ニュース砂漠」が広がっていると言われています。

 「そうですね。ただ、それだけが原因ではないと思います。そもそも、どの国のメディアも地方政治はそれほど取り上げません」

 「地方議会は指定席化、つまり、特定の候補が当選を重ねる傾向があります。有権者は『結果は同じ』と考え投票しなくなる。それも閉塞感の一因です」

 ――成功している対策などはあるのですか。

 「どの国も、何とかしなければと考え、対策に取り組んでいます。例えば、地方選を国会議員選などと同日で実施すると、投票率は上がります。でも、それは地方政治への関心を高めるという本質へのアプローチではありません」

国ごとに課題はさまざまだという原口さんですが、「日本の場合はわかりやすい」といいます。記事後半で掘り下げます。また、公開討論会が減っている実情についてもコーディネーターの立場から分析します。

 ――投票率があがるだけでは、解決しないと。

 「例えば、アメリカでは、特…

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