宮城県、災害時は市町村に土木技術職を派遣 公共施設早期復旧めざし

根津弥
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 災害で損傷した公共施設の復旧を後押しするため、宮城県は4月から、土木技術者を市町村に派遣する体制を整える。市町村の技術者が減っているためで、被害の調査などを担う。

 新たな支援制度では、市町村からの要請の有無にかかわらず、まずは発生直後に1週間ほど、土木部の技術職員を派遣。施設被害の情報を集めたり、国への連絡などを担ったりする。

 発生1カ月までを目安に、要請を受けて追加派遣し、被害の調査や報告の取りまとめも支援する。事前に登録しておいた技術職の退職者を派遣することもある。退職者の場合は無給となる。

 派遣の目安とするのは、県が災害対策本部を設置するクラスの被害を想定。ただ、市町村の要請があれば、規模にかかわらず柔軟に対応する予定だ。

 背景には、市町村には技術職員が集まらず、人手不足が続いているという実情がある。総務省によると、昨年4月1日時点で、県の土木技術職員は483人。一方、県内自治体の約半数にあたる17市町村の技術職員はそれぞれ10人未満しかおらず、このうち七ケ宿町ではゼロとなっている。

 災害時には復旧予算を速やかに組むため、発生から1カ月を目安に各地の被害箇所や金額を県で集約し、国に報告する。だが、昨年3月の福島県沖地震や同7月の大雨災害では、技術職員の不足のため県への報告がなかなか届かなかったり、調査が甘くて追加の報告が相次いだりした。

 一方、2019年10月の台風19号では、発生直後から丸森町に技術職員を派遣。速やかに情報を得られたことから、県は支援制度の構築を決めた。

 村井嘉浩知事は20日の会見で、「市町村によっては土木技術職員がほとんどいない、あるいはゼロのところもある。迅速に対応するため、県職員がお手伝いしたい」と話した。(根津弥)

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