津波にのまれた先生2人、「ひかりの実」でしのぶ 日米3カ所で開催

三浦英之
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 東日本大震災の犠牲者らに思いをはせようと、津波で亡くなった2人の米国人青年の母校や宮城県石巻市で、「3・11 笑顔の架け橋プロジェクト『ひかりの実』」が開かれている。笑顔の絵を描いた果実袋に電球を入れ、木につるして夜を彩る催しで、主催者は「『ひかりの実』の向こうに大切な人を思い浮かべてほしい」と願う。

 2人は、いずれも小中学校で英語を教えていた外国語指導助手で、岩手県陸前高田市で死亡したモンゴメリー・ディクソンさん(当時26)と、宮城県石巻市で亡くなったテイラー・アンダーソンさん(同24)。

 催しは、震災をきっかけに交流を続けてきた日米3大学が、美術家の高橋匡太氏の協力を得て実現した。

 モンゴメリーさんの出身校、アラスカ大学アンカレジ校では、シラカバの木に約400個の「笑顔」をつるしている。指導教官だった原田宏子教授は「私はモンティの笑顔を描いた。彼はかけがえのない絆を残してくれた。その思いが天まで届いてほしい」。

 テイラーさんが卒業したバージニア州のランドルフ・メーコン大学では、校内にある桜に4月上旬まで、学生らが描いた果実袋をつり下げている。企画を担当した中村真由美さんは「大震災をリアルタイムで記憶していない世代にも、災害で得た教訓や鎮魂の祈りを伝え続けたい」と語る。

 石巻専修大学は3月31日まで、石ノ森萬画館の川沿いにある桜並木に、市内の子どもたちが笑顔を描いた果実袋約千個を展示している。同大国際交流センターの担当者は「震災での出来事を若い世代に語り継いでいきたい」と話した。三浦英之

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