第3回朗らかな妻から消えた笑顔 「原発で死亡事故ない」発言に募る悔しさ

有料記事震災12年 関連死をおって

斎藤徹
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 歌を歌っているときも、旅先の観光地でも、その人はいつも楽しそうに笑っている。

 でも、目が覚めると、それが夢だったとわかり、ため息とともに朝を迎える。

 福島県田村市の今泉信行さん(75)は、今も週に1度、11年前に亡くなった妻・峰子さんの夢を見る。

 見るのは決まって、北陸や北海道への旅行やカラオケなど、楽しかった思い出だ。

 昨年12月で、長く続けていた浜通りの帰還困難区域での除染の仕事を退職した。今は、近所の知り合い宅に茶飲み話をしに出かける以外、一日じゅう自宅でテレビを眺める日々だ。

 「女房がいてくれたなら……」。おしゃべり好きでいつも笑顔だった峰子さんを失った悲しみは、何年経っても晴れることはない。

息を潜めて暮らす日々、消えていった笑顔

 自宅は東京電力福島第一原発

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