海外協力隊の力を国内で生かす JICAの実習生、遠野で活動報告

奈良美里
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 海外協力隊から実習生を受け入れ、地域活性化につなげる取り組みの報告会が28日、岩手県遠野市であった。実習生2人が約3カ月間の活動を振り返り、受け入れ先の農事組合法人は手応えを語った。

 実習生2人は、国際協力機構(JICA)の海外協力隊の候補生で、今夏には途上国に派遣される。渡航前に国内各地で実習生として活動し、「地域創生」に携わることで経験を積んでもらおうとJICAが昨年から全国で展開する。

 一方、遠野市は、実習生の視点や行動力を活性化につなげたいと今年1月にJICA東北(仙台)と覚書を締結。2人を宮守川上流生産組合で迎え入れた。

 実習生の高橋翼さん(23)=群馬県出身=と穴井祐介さん(38)=大分県出身=は、リンゴ加工やイベント開催、特産品のPRなどに従事した。

 アフリカのガボンに派遣される予定の穴井さんは、組合直営店で買い物客を対象に、方言を使ったクイズイベントを企画。約300人が参加する盛り上がりをみせた。「自分の住む地域を好きになってもらいたいと企画した」と穴井さん。

 同組合の副組合長、桶田陽子さん(49)はこの日の報告会で、店員の女性らが集まる人の多さに驚き、目を輝かせていたと話し、「地域が変わるきっかけになった」と評価した。

 市は新年度以降も受け入れを継続する予定。JICAによると、同様の取り組みは同市や釜石市陸前高田市のほか、島根県鳥取県など全国9自治体で行われ、63人が実習生として派遣されたという。(奈良美里)

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