文化庁、27日に京都で始動 9年越しの移転は地方創生につながる?

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神宮桃子
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 文化庁が27日に京都に移転し、長官らが業務を開始する。地方創生の目玉として2014年に安倍晋三政権が掲げた中央省庁の地方移転だが、本格的に移転するのは文化庁だけ。その文化庁も、東京と京都の2拠点に分かれるのが実態だ。東京一極集中の是正につながるのか。

「業務に一定の区切りがつくまで」は東京で

 「業務に一定の区切りがつくまでの間とは、問題が解決したと広く一般に認識され、宗務行政の組織が旧統一教会問題が生じる前の状態になるときが想定されている」。永岡桂子文部科学相は24日の会見で、京都に移転予定の文化庁宗務課についてこう答えた。

 文科省京都府・市などでつくる協議会は今月8日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る課題に対応する職員は「業務に一定の区切りがつくまで」東京で働くことを確認。宗務課は現在、教団の解散命令請求を視野に他省庁の応援も得て業務にあたり、国会対応も多い。スタートから、省庁移転の課題が浮き彫りになった形だ。

 そもそも、文化庁はなぜ京都に移転するのか。安倍政権は14年、政府機関の地方移転を掲げた。政府が率先し、民間企業の移転を促す狙いもあった。東京、神奈川、千葉、埼玉を除く地方から誘致を募集し、42道府県から中央省庁や研究機関など69機関の提案があった。その中で、京都府が文化庁移転を提案した。

文化財が集まる京都 「全面的に移転」のはずが

 文化庁を京都に全面的に移転するとの方針は16年に決まった。文化庁によると、京都府には現在、全国の国宝の約20%が集まる。「文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都」への移転は、文化行政の強化や国際発信力の向上、文化財を活用した観光の強化推進、文化の多様性の確保などの観点から「意義は大きい」とされた。17年に先行して京都に地域文化創生本部が置かれた。

 だが、ふたを開けてみれば「全面的」移転とは言いがたい。京都に移るのは長官ら幹部のほか、文化財関連や宗務課の計6部署。文化行政の対象は多岐にわたり、関係団体が東京に多いなどの理由から、東京にも一部幹部と著作権や博物館、文化芸術振興などを担う計7部署が残る。京都に約390人、東京に約200人の体制になるという。

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