「絶対に忘れない」 被災地のふるさとで働き始めた若者の3.11

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藤原伸雄
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 「一緒に生きていたら、どうなっていたんだろう。もっと強く逃げろって言っていれば」

 東日本大震災から12年経った11日、岩手県大槌町で暮らす高木桜子さん(25)は、猛威をふるった海や生まれ変わった街を見つめ、そう語った。

 あの日、高木さんは町立中学校の1年生だった。地震発生後、高台に避難する道中ですれ違い、「さっこ(高木さんのあだ名)、今日部活あるかな」と聞いてきた級友を失い、沿岸部にあった自宅は跡形もなく流された。

 高木さんは中高時代、吹奏楽部でサックスを担当。チャリティーコンサートなどで他県の生徒たちと交流したり、大槌町を訪れた人たちに被災の体験や町の歴史、魅力を伝えたりするなかで、自身も成長したという。「卒業したら帰ってこよう」と心に決め、東京の大学に進学。被災地出身であることに対して心ない言葉をかけられたこともあったが、心の中にはいつも大槌町があった。

 震災から10年が経った20…

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この記事を書いた人
藤原伸雄
国際報道部
専門・関心分野
国際社会問題、貧困、難民、紛争