実は同性愛に寛容だったロシア プーチン氏が差別的発言続ける狙いは

有料記事ウクライナ侵略の深層

聞き手・根本晃

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアで、LGBTなど性的少数者を抑圧する動きが一層強まっています。プーチン大統領は侵攻関連の演説の場で、性的少数者を念頭に置いたとみられる差別的な発言を繰り返しています。なぜ、あえて言及するのでしょうか。性的少数者をめぐるロシアの歴史に詳しい早稲田大の安野直助教に聞きました。

インタビューではプーチン氏の発言に込められた狙いとともに、ロシアの歴史を振り返ります。安野助教によると、ある時期まではロシアは同性愛に寛容だったといいます。

「男らしさ」、根強いロシア

 ――プーチン氏は昨年2月24日のウクライナ侵攻開始以降、国民向けの演説で性的少数者を念頭に置いたとみられる差別的な発言を繰り返しています。例えば昨年9月には、ウクライナ東部・南部4州の併合を宣言する演説で、「子どもたちに堕落と絶滅につながる倒錯を押し付けたいだろうか。女性と男性以外に、何らかのジェンダーがあるかのように教え込み、性別適合手術を勧めるために」などと述べています。こういった発言には、どのような狙いがあるのでしょうか。

 プーチン氏の一連の発言には、欧米との価値観をめぐる文化戦争の側面があると思います。

 「男性らしさ」や「女性らし…

この記事は有料記事です。残り3093文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    パトリック・ハーラン
    (お笑い芸人・タレント)
    2023年3月22日17時48分 投稿
    【視点】

    少数派に対する怒りを煽ることは独裁者の常套手段。ヒトラーもやったし。だが、保守派政治家もよく使う。  我が国でも、LGBTQだけではなく、イスラム教徒、ユダヤ教徒、移民などに対する怒り、憎しみ、軽蔑などを煽ることで「マジョリティー」の皆さ

    …続きを読む
書籍「ウクライナ侵攻 10の焦点」が発売中

書籍「ウクライナ侵攻 10の焦点」が発売中

1年余のウクライナ取材の集大成となる「検証 ウクライナ侵攻10の焦点」が発売中。朝日新聞出版、1870円(税込み)。※「朝日新聞出版」のサイトへ遷移します。[もっと見る]