「事故の教訓どこへ」 80歳の原発事故避難者は新橋駅へ向かった
東京電力福島第一原発事故から12回目の春。横浜市内で避難生活を続ける村田弘さん(80)は、ある作家が残した「忘却と記憶の闘い」という言葉をかみしめている。原発運転期間の延長を認めた政府と、それを容認する世論。忘却の力にあらがうすべを、必死に探している。
神奈川県内の原発事故避難者による損害賠償請求訴訟の原告団長を務める村田さんにとって、2月は衝撃の連続だった。
21日の朝日新聞朝刊に掲載された世論調査の結果を見て目を疑った。停止中の原発の運転再開について「賛成」が51%と、事故後に初めて過半数となった。
そして28日、政府は60年を超えて原発を運転できるようにする法案を閣議決定した。原子力基本法、原子炉等規制法(炉規法)などの改正案を国会で審議し、福島第一原発事故の教訓から「原則40年」と定めた運転期間のルールを、変えるというのだ。
「かつてないほどのショックを受けています。これほど重大な方向転換が簡単に進められることを、世間も良しとしている。あの事故の教訓は、いったいどこに行ったんだろう」
「忘却と記憶の闘い」に思い重ね
くしくも28日の朝、新聞の…
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