ファッションと「文化の盗用」を考える デザイナーはどう向き合う?
人気ブランドのデザインなどが「文化の盗用ではないか」と批判される事例が近年後を絶たない。背景にどんな問題があるのか。何が盗用にあたるのか明確な基準がない中で、作り手はどう向き合っているのか。
メキシコ大統領の妻が2022年10月、米国の人気ブランド「ローレン ラルフ・ローレン」の商品写真をインスタグラムに投稿した。店頭に並ぶカラフルなしま模様のカーディガンが、先住民のデザインを模倣していると非難する内容だった。ブランドを運営するラルフ・ローレン・コーポレーションはすぐさま反応し「この商品がどのようにして売り場に置かれたのか緊急の監査を行い、直ちに撤去されることを確認している」と釈明、謝罪した。
日本の着物をめぐり論争が起きたこともある。米国の女性タレント、キム・カーダシアンさんが19年、自ら立ち上げた矯正下着のブランドに「キモノ」の名を付け、商標登録を申請した。ネット上では「文化の盗用ではないか」と批判があふれ、京都市は着物が「すべての人々共有の財産であり、私的に独占すべきものではない」として、再考を促す文書を送った。ブランド名は最終的に「スキムズ」へと変わった。
どこからが文化の盗用か、線引きは簡単ではないそうです。論文をまとめた南山大の家田崇教授、服飾史家の中野香織さんに背景などを聞きました。ファッションデザイナーの中里唯馬さんは、1月のパリでアフリカから着想したコレクションを発表しました。「リスクがある」とチーム内で議論になったといいます。どのような過程を経て制作したのでしょうか。
■文化は誰のもの?…