公務員は「コスト」なのか 杉並区長が考える「公共の再生」

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聞き手・田中聡子

 公務員の非正規化や市民サービスの民間委託などで公的負担を削減することが、「良いこと」のようにとらえられてきました。しかし、杉並区長で、公共政策を研究してきた岸本聡子さんは「公的なものは納税している市民の財産だ」と話します。市民のための公共とは何か、話を聞きました。

きしもと・さとこ 1974年生まれ。新自由主義に対抗する公共政策を研究してきた。昨年、杉並区長選で初当選。著書に「水道、再び公営化!」など。

 昨年の区長選で、私は「公共の再生」を訴えました。今は、普通に安心して暮らすこともままならない社会です。市民の公共への信頼や公共との関係性を作り直していくことは、納税の納得感にも大きく影響するでしょう。

 今の日本は、市民の間に「公的なものは削減するべきだ」「公務員は非正規を増やすべきだ」「民間の競争にゆだねた方が合理的だ」という考えが浸透してしまいました。こうした流れの中で、競争に委ねてはいけないはずの医療やケアの分野まで、市場に開かれてしまっています。

公的なものをダメにした政治

 市民一人ひとりは、主権者で…

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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2023年9月3日8時37分 投稿
    【視点】

    役所や公務員が市民の共有財産だという本質的なことを明確に言っている。それは、決して公務員を優遇したいということではなく、本当に住民によいサービスを届けるために必要だという岸本区長の信念が伝わってくる。 そのために必要なのは、住民との対

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