震災12年を前に釜石、大槌で津波避難訓練

東野真和
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 東日本大震災から12年を前に、岩手県釜石市と大槌町で5日、津波を想定した避難訓練が行われた。

 釜石市ではコロナ禍で控えていた市内一斉の地震・津波避難訓練が3年半ぶりにあり、59カ所で計1560人が参加した。津波で多くの住民が犠牲になった鵜住居地区では、住民約300人のうち62人が高台の釜石東中・鵜住居小の運動場に避難した。

 妻子や父と参加した会社員の佐々木智之さん(40)は、震災で母と姉を亡くした。「日中は仕事でいないので子どもたちに避難の習慣をつけたい」。長女の小学3年・智桜(ちさ)さん(8)は避難グッズをリュックに入れ、弟と手をつないで避難した。訓練では段ボールベッドの作り方も学び、「組み立て方がわかってよかった」と、実際にベッドに乗って感触を確かめていた。

 鵜住居町内会長の古川愛明(よしあき)さん(75)は「初動は市職員の助けがないだろう。住民で避難所を開設して運営する心構えが必要だ」と気を引き締めていた。

 大槌町では震災で住民の1割以上が犠牲になった安渡地区の町内会が津波避難訓練を実施。公民館などに120人が避難した。高校生らが折りたたみ式のリヤカーを組み立て、高齢者を乗せて坂を上った。一人暮らしの中村チヤさん(84)は「震災の時は勤め先から逃げたが、いつまで自分の足で歩けるか」と不安を口にした。

 訓練後の地震発生時刻の午後2時46分には、半鐘で避難を促して亡くなった消防団員の追悼施設の前に集まり、半鐘を鳴らして犠牲者に祈りを捧げた。佐々木慶一・安渡町内会長(61)は「訓練はまずまずの参加人数だが、本当は冬の夜中で抜き打ちでやるとか、現実的な想定でやりたい」と話した。東野真和

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