7年育てた里子と会えない夫妻の請求棄却 里子ら「子供の声聞いて」

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田中恭太 編集委員・大久保真紀
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 生みの親のもとで育てるのが難しい子の養育を委託する「里親」をめぐり、委託を解除されて里子と会えなくなった夫妻が、東京都に計400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁(中島崇裁判長)であった。判決は、解除に「不合理な点はない」とし、請求を棄却した。

 判決によると、2016年12月、妻が疲労などから突然川に飛び込んで約3週間入院。里親として3歳から育て、当時10歳だった女児の委託を解除され、里親登録も取り消しになった。

 都の里親認定基準は「心身ともに健全であること」と定める。判決は、飛び込みは「命を落とす可能性もあった危険性の高い行為」と指摘。妻の主治医は「一過性で育児は可能」との見解を示していたが、判決は「『過度な心理的ストレスがなければ』との留保がついている」と述べ、都の判断は妥当とした。

 夫妻は、その後女児と一切交流できない点も違法だと訴えたが、判決は「委託が解除された夫妻が女児と交流できる法的根拠は、現行法では見いだしがたい」と退けた。ただ、夫妻と女児の愛着の強さ、双方にとって突然かつ不本意な別れとなったなどの経緯を踏まえ、「今後の交流のあり方について関係機関で柔軟に検討されることが期待される」とも言及した。田中恭太

2年後、見知らぬ番号から着信

 「児童の福祉にかなった対応かどうかを何年も争っているが、それは(里子の)娘本人が判断することではないのか。本人不在で決められていくことが不思議でならない」。里親として、夫妻で3歳から10歳まで里子を育てた原告の女性(60)は31日、判決後の会見でそう訴えた。

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 2016年12月、精神的な…

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