「おせっかい」を極めたら 赤字から回復 街のクリーニング屋の挑戦

カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

 東田(とうだ)ドライ(兵庫県西脇市)は東田伸哉社長(33)の祖父の代から営むクリーニング会社だ。経営状況も良いのだろうと、なんとなく家業を継いだ。当時は宅配事業はなく、近隣に店舗を複数構える「街のクリーニング屋さん」だった。

 東田さんは2013年、23歳で結婚。モルディブへの新婚旅行から戻り、ふと会社の業績が気になった。決算書を見てみると売り上げは1・4億円で、ずっと右肩下がり。赤字だった。

 「この状況はなんでなん」。当時経営をしていた両親に決算書をたたきつけた。両親は「一生懸命やってたんや」と言うが、「それは労働者が言うこと。経営者のセリフじゃない」と憤った。

 そこから試行錯誤が始まった。客単価を上げようと、汗抜き加工などオプションを用意したが、思うように売り上げは伸びなかった。西脇市の人口は約4万人。東田ドライの顧客は1万人以上おり、すでに飽和に達していた。

 そんなとき、大阪の企業が「ホームページを作りませんか」と営業電話をかけてきた。「お先真っ暗な中、都会の会社が手を差し伸べてくれている気持ちになった」という東田さん。ネットを使って調べると、客から衣類を送ってもらい仕上げて送り返す宅配クリーニングを手がける同業者がいた。これなら、地域にいながら全国からの客を増やすことができる。早速ホームページをつくり、サービスを始めた。

 だが始めて1カ月、注文はたったの2件。人の力を借りようとコンサルタントに相談すると、「自社の強みをまず100個書いて」と言われた。

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 書き出してみたものの、20…

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