東北被災3県、若い女性の人口減続く 識者「Uターン以外に活路を」

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 東日本大震災が発生してから今月で12年。被災地は復興が進み、避難指示が出ていた地域にも住民が戻り始めました。しかし、その活気やにぎわいは、地域によって濃淡があるようです。

20~39歳の女性、都市部へ流出

 20、30代の女性の割合は、3県で大きな違いが見える。

 震災後、大きく減ったのが福島だ。2005年までは全国平均とさほど変わらなかったが、震災後は2ポイントほど下がり、茨城と栃木に次いで全国で下から3番目になった。特に東京電力福島第一原発の周辺自治体は少ない。放射線の影響を心配し、避難や転居を迫られた子どもや若い女性が多かったとみられる。

 岩手も10年までは全国平均と変わらなかったが、右肩下がりになっている。逆に大きく伸びているのが東京だ。全国的に、若い女性が大都市に集まる傾向が強まっており、岩手は女性の流出が加速しているとみられる。

 岩手と東京の間にあるのが宮城だ。仙台市や、そのベッドタウン名取市などが、子育て世代の女性を引きつけている。県全体でも女性の割合が全国平均を超えている。

核家族世帯の割合 全国との差縮まる

 大家族が一般的だった東北地方も、近年は核家族が増えている。被災3県で、5人以上の世帯は2000年に17・6%あったが、20年には8・0%に半減した。1人世帯は25・5%から34・9%になった。世帯の平均人数が3人以上だった自治体は、00年には3県の全自治体のうち82%あったが、20年にはわずか6%になった。

 もちろん、核家族の増加は全国どこでも進んでいる。とはいえ、世帯あたりの人数は、全国が00年の2・67人から20年に2・21人になったのに対し、3県は2・92人から2・36人になっており、その差は縮まっている。

 世帯人数が特に少ない自治体は、福島県に集まっていた。例えば大熊町は3・13人だったのが1・05人に、富岡町は2・88人が1・30人になった。震災後、原発やその周辺で働く人の単身世帯が増えたためとみられる。

働き手の人口 再び減少に

 3県の産業構造の変化をみると、特に漁業が深刻な影響を受けている。2020年の働き手は1万1千人で、10年の3分の2まで減った。農業も13万8千人で2割減るなど、1次産業の働き手が激減している。

 働いている人全体の数も、00年から10年にかけて295万人から263万人へ11%減っていた。ただ、震災後は復興需要を受け、特に建設業が急増。15年には264万人と下げ止まった。

 しかし、浸水した地域のかさ上げや公共施設の再建工事などがおおむね完了すると、建設業に携わる人は急減した。観光客も戻っていないとみられ、宿泊・飲食サービス業も減り続けている。働く人全体の数も20年、256万人と再び減少に転じた。

 伸びているのは医療・福祉関連だ。高齢者の増加とともにケア施設や病院などで働く人は32万9千人と、10年の2割増しになった。

識者「Uターン頼みでは変わらない」

 被災3県で進む急激な少子化について、国立社会保障・人口問題研究所の小池司朗・人口構造研究部長に聞いた。

 東北地方はもともと3世代同居が多かったが、単独世帯が急激に増えている。東京電力福島第一原発の事故後、子どもと母親が遠くに避難し、父親は地元に残るという動きが見られた。こうして世帯が「解体」され、出生率が下がった。

 もともと子どもの減少が急速に進んでいた東北に、震災が追い打ちをかけたのは明らかだ。経済的に苦しくなった家庭も多かっただろうし、家族の誰かが亡くなって「子どもを産んで育てるどころではない」という混乱した状況もあっただろう。

 これが一時的な産み控えなら…

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