震災伝承にアイデア 大槌高校生発表会

東野真和
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 岩手県大槌町の大槌高校の生徒が、町の課題や興味あるテーマの研究成果を発表する「聞きに来てけでさフェスタ」が23日、町文化交流センターであった。

 同校は2022年度から、文部科学省の「新時代に対応した普通科改革支援事業」の指定校となっており、関連する活動の一つとして開かれた。

 1年生約60人は、町議会から与えられた「震災伝承の施策」「郷土芸能の活用」など六つの課題について、グループに分かれて他の自治体への見学や関係者への質問を通じて調査や研究を進めてきた。

 震災伝承については、遺構が減り、町の集会への参加者も少なく、震災を知らない世代への伝承が不十分になっているという。この日の発表では「五感で伝える仕掛け絵本」を提案。津波の高さがわかるように立体的に絵が飛び出す仕掛けや、ボタンを押すと体験者の声が聞ける機能を盛り込み、付録に防災グッズをつける案を披露した。

 また、QRコードを町内の数カ所に設けて、スマホで読み込めば当時の写真やクイズなどが出てくる「QRコードで伝える見えない震災遺構」のアイデアも提案した。

 発表した一人、佐々木敦史さん(16)は「震災について親からも聞いたことがないし、伝える集会があることも知らなかった。これからは参加して、自分たちのアイデアも実現させたい」と話した。

 震災で妻子を亡くした小松則明町議長(62)は高校生たちの発表を聞き、「旧町庁舎を解体する予算の採決で、議員の賛否は同数だったが私の裁決で解体を決めた。今もそれでよかったのかわからない。当時の遺体の様子などつらい体験も口に出していかねばならないと思った」と話し、提案への協力を約束していた。東野真和

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