コンビニ弁当で「値上げ実感」、質問通告「不要」 植田日銀総裁候補

久保田侑暉
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 日本銀行の次期総裁候補の植田和男氏(71)が24日、国会で所信聴取に臨んだ。就任すれば戦後初の学者出身の日銀総裁となり、国会答弁が一つの課題との見方があったが、2時間以上にわたる質疑では受け答えにつまる場面は見られなかった。後席に座った関係者に、助言を求める様子もほとんどなかった。

 午前9時半から所信を述べた後、自民、立憲、維新、公明、国民、共産の各会派から質問を受けた。休憩を挟まず、計約2時間45分に及んだ。植田氏は自ら所信を述べる場面では手元の紙を見ることが多かったが、その後の質疑では、質問者の目を見て答える場面が目立った。

 ある野党幹部によると、植田氏は、国会で慣例となっている、事前に質問内容を答弁者に知らせる「質問通告」について「いらない」と伝えてきたという。この野党幹部は「ぶっつけ本番でいい、と。大したもんだ」と話した。

 答弁では、庶民的な一面ものぞかせた。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が昨年6月の講演で「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言したことに関連し、「日常生活で物価高騰を感じるか」と問われた。植田氏は「消費者の生活必需品の価格変動に対する敏感さについては、注意深く見守っていかないといけない」としたうえで、「大学に勤めているので毎日、昼ご飯はコンビニのお弁当で済ませている。ここ1年くらいの間に、例えば450円くらいのお弁当が、500円を超す水準にまで値上がりしたなと実感している」と答えた。(久保田侑暉)

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