「すずめの戸締まり」新海誠監督が伝えたかった、12年前起きたこと

有料記事

ベルリン=佐藤美鈴
[PR]

 皆さんにできれば知っておいてほしいことがあります――。ドイツで開催中の第73回ベルリン国際映画祭は、25日夜(日本時間26日未明)に最高賞の金熊賞が発表される。それに先立ち、長編コンペティション部門で23日に公式上映された「すずめの戸締まり」の新海誠監督は、上映後、ベルリンの観客に向けてこう語りかけた。東日本大震災の記憶を抱える高校生の鈴芽が、災いの元となる“扉”を閉じるために日本各地の廃虚をめぐる物語。作品に込めた新海監督の願いがにじむスピーチの全文は、以下の通り。

     ◇

 皆さん、「すずめ」を見てくれてありがとうございました。光栄です。

 皆さんがご存じかどうかわかりませんが、この物語は12年前に日本で起きた、東日本大震災という大きな地震を物語のベースにしています。12年前にまだ5歳だった鈴芽は、あのとき、同じような境遇の多くの日本人がいたんですが、親戚に引き取られて被災地から遠く離れた九州、西のほうまで引っ越して、そこでおばに育てられました。

 皆さんにできれば知っておい…

この記事は有料記事です。残り699文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません