まるで「踏み絵」 ウクライナ侵攻がラムサール条約会議に残した分断
小坪遊
「ロシアに対し、ただちに、完全に、そして無条件に、ウクライナの領土からすべての軍を撤退させるよう求める」。そんな一文を含む決議が採択されたのは、昨年11月に開かれた、ラムサール条約締約国会議(COP14)の場だ。
面積にして約60万ヘクタール、16カ所の同条約の登録湿地を含む重要な生態系が、軍事行動や汚染で脅かされていると、ウクライナは説明。「重要な湿地の保全活動をさせないのは、条約に違反する行為だ」と訴えた。
もちろん、ロシアは猛反発した。会議に出ていた日本国際湿地保全連合の横井謙一所長によると、厳しい交渉が続き、議長を務めた中国の担当者は「死にたい」とブラックジョークを漏らしたそうだ。ただ、ウクライナの交渉官はにこりともしなかったという。
最終的には、修正を重ねた上…