子ども予算倍増、首相が「あいまい作戦」 基準を明示しない狙いは

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藤崎麻里 西村圭史 中村靖三郎
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 岸田文雄首相が15日に国会で答弁した、「家族関係社会支出」を国内総生産(GDP)比で倍増させるとの発言を、翌日に政府が修正した。首相は「子ども予算の倍増」を掲げるが、なにを「倍増」させるのか明らかにしない。なぜあいまいにするのか。

 「家族関係社会支出は2020年度の段階でGDP比2%を実現している。それをさらに倍増しようではないかと申し上げている」

 15日の衆院予算委員会。昨年4月に国会で「子ども予算の将来的な倍増」を打ち出しながら、何を倍増するか示さずにきた首相が、基準に初めて言及した。

 政府内には驚きが広がった。少子化対策に関わる官僚の一人は首相の答弁に「GDP比4%にするという意図ではなかった」と釈明。こども家庭庁準備室では、すぐに発言の修正にとりかかり、翌日修正した。

 これに対し、立憲民主党泉健太代表は党の会合で「議事録に残る首相の国会答弁がいとも簡単に記者会見でひっくり返るのであれば、国会の審議とは何なのか。政府、官邸、首相にも説明を求めなければならない」と述べ、国会で追及する考えを示した。

 野党幹部は「4%でないなら…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年2月17日8時22分 投稿
    【視点】

    行政府の長である首相の答弁が、政府関係者に修正されるという力関係にあること自体がもろさを表しています。 大きな方向性を組織としてめざすために、大きめの数値目標を掲げることは、どんな世界でもあることだし、むしろやるべきことでしょう。問題

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    中川透
    (朝日新聞編集委員=経済、暮らしとお金)
    2023年2月17日9時37分 投稿
    【視点】

     昨年話題になった「資産所得倍増プラン」も、当初は具体的に何を倍増するかあいまいなまま、議論が進みました。資産所得というと一般的には、預貯金の利子と株式投資からの配当。これら金融資産所得は低金利の影響で、過去25年ほどで半減しています。

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