「新しい戦前」社会の静けさの意味 90年前の戦前との決定的違いは

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聞き手・高重治香

 「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」。昨年末、「徹子の部屋」に出演したタモリさんが、「来年はどんな年になるか」という問いに答えた言葉が波紋を呼びました。本当に「戦前」なら、街が高揚や反対でもっとザワザワするものかと思っていたけれど、防衛費増額も敵基地攻撃能力の保有も静かに進んでいるように見える。なぜなのでしょうか。戦争社会学が専門の野上元・早稲田大教授に聞きました。

 タモリさんの「新しい戦前」という発言に対し、何らかの強い信念を持っている人は意見を発していましたが、私には社会に横たわる「沈黙」が目につきました。

野上さんは、「戦前」という言葉からは3つのイメージが想起されると言います。その一つが、「日本が当事者になる戦争」の戦前です。約90年前の「戦前」と現在の状況との違いが、人々を沈黙させているのではないか、と分析します。

 昨年末の防衛費の増額決定時…

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この記事を書いた人
高重治香
論説委員
専門・関心分野
ジェンダー、文化