「賢いハンス効果」はあったか 強盗殺人事件の再審請求で焦点に

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森下裕介
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 1900年ごろのドイツ・ベルリンで、「計算ができる」と有名になった馬がいた。名前はハンス。計算問題の正解を、蹄(ひづめ)で地面をたたく回数で答えたという。

 たとえば、「1+2は?」と問われれば、「パッカ」「パッカ」「パッカ」と地面を3回たたく、といった具合だ。

 なぜ、そんなことができるのか。心理学者らが調べた。

 地面をたたく回数が正解の数に達すると、見守っていた出題者や飼い主、観客らの身体が無意識のうちに動いた。ハンスはその動きに反応し、地面をたたくのをやめていたのだという。観客らが正解を知らない場合、正しく地面をたたくことはできなかったそうだ。

 人間が無意識のうちに誘導していた、というのが顚末(てんまつ)だ。周りの人の顔色や言動に反応して、求められた行動をしてしまう――。心理学で「賢いハンス効果」と呼ばれるようになった。

 この現象が今、強盗殺人事件を巡る再審請求で注目されている。

 1984年12月、滋賀県日…

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この記事を書いた人
森下裕介
ネットワーク報道本部|地方裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権