学術会議改革めぐる政府案、「根本的に再考を」 歴代5会長が初声明

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嘉幡久敬
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 政府が日本学術会議の組織改革の法案を通常国会に提出する方針であることに対し、歴代会長5人が14日、岸田文雄首相に対して「根本的に再考することを願う」などとする声明を連名で発表した。2020年に学術会議の会員候補の任命拒否問題が発覚して以降、歴代会長が連名で声明を出すのは初めて。

 声明は吉川弘之氏(1997~2003年)、黒川清氏(03~06年)、広渡清吾氏(11年)、大西隆氏(11~17年)、山極寿一氏(17~20年)の連名で、学術会議の独立性と自主性を尊重し、擁護を求める内容。戦後の設立以降の学術会議の歴史を踏まえ、学術の独立性について「一国の政府が恣意(しい)的に変更して良いものではない」とした。

 内閣府の方針では、会員選考の際に外部の第三者委員会が介入する仕組みを導入する。これに対し、声明では、アカデミーの世界では自律的な会員選考こそが「普遍的で国際的に相互の信認の根拠となっている」とし、「内閣府案はこれを毀損(きそん)する」と批判。「長期的視野の公平な検討のしくみの下で、科学者を含めた社会や、与野党を超えた国会での議論が必要」とした。

 この日は、吉川氏をのぞく4人が日本記者クラブで会見した。広渡氏は任命拒否問題に言及し、「首相は今からでも自分の判断で任命しなおすことが可能。本来は5人で首相に直接面会し、ひざを交えて話をしたかった」と話した。また、法案について「法改正の狙いは、任命拒否を正当化し、それを制度として法に組み込むことにある」と説明。

 第三者委員会について、「委…

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