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麻生氏「原発で死亡事故ゼロ」発言釈明 「労災で死亡事故は承知」

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関根慎一
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 自民党麻生太郎副総裁は「原発で死亡事故ゼロ」との自らの発言について、朝日新聞の取材に「労働災害等による死亡事故が発生していることは承知している」と釈明した。その上で、「直接、放射線障害での死亡事故が起こった事例はないと認識している」との見方を改めて示した。朝日新聞が麻生氏宛ての質問状を麻生氏の事務所に提出し、14日までに文書で返答があった。

 麻生氏は1月15日、福岡県飯塚市であった自身の後援会会合で「原子力発電所で死亡事故が起きた例がどれくらいあるのか調べてみたが、ゼロだ」と発言。その後、松野博一官房長官が「原発において直接、放射線障害で亡くなった事例はないと認識している」としつつ、「JCO臨界事故で2人が亡くなり、原発敷地内では労働災害などによる死亡事故は発生している」との見解を示していたが、麻生氏はこれまで説明してこなかった。

 国際原子力機関などの2005年の報告によると、1986年のチェルノブイリ原発事故での被曝(ひばく)による死者は56人。将来分を含めると約4千人と推計する。国内では04年に関西電力美浜原発福井県)3号機で配管が破損、熱水を浴びた作業員5人が死亡したほか、核燃料加工会社「JCO」(茨城県東海村)で99年、核燃料の加工中に多量の中性子線を浴びた2人が死亡した。

 また11年の東京電力福島第一原発事故では、がんで労災認定を受けた作業員10人中、2人が死亡。1、3号機の水素爆発では東電社員や自衛隊員ら16人が負傷、高齢者らが避難中などに亡くなる関連死もある。

 朝日新聞は1月31日に出した質問状で、発言の修正や撤回をするか▽発言の真意は「国内の原子力発電所では直接、放射線障害で死亡した例はない」ということか▽「死亡事故ゼロ」は海外も含めた発言か▽福島原発事故での実態に鑑み、適切と考えるか――などを尋ねた。麻生氏の事務所はすべての質問に対してまとめて返答した。

 麻生氏側は「死者ゼロ」など…

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