酵母全滅、でもあきらめなかった 「宇宙深海酒」の味わいは濃醇
蜷川大介
宇宙を旅し、深海の過酷な環境に耐えた酵母を使った酒がある。その名も「宇宙深海酒」。開発の中心を担ったのが、元高知県工業技術センター職員、上東治彦さん(63)だ。
「宇宙を旅した酵母で酒を造ったらうまかろう」
2002年、土佐酒の品質向上に関わっていた上東さんに打診があった。高知の学識者や経営者でつくる「宇宙利用推進研究会」が、地方の企業による国際宇宙ステーションの活用を検討していた。
品質に自信はあるのに酒の需要が伸びない。そんな悩みを抱えていた。「夢のある話題づくりが必要」。上東さんは「宇宙酒」へのチャレンジを決めた。
酵母は糖分を分解してアルコールにする微生物。2005年10月、6種類の酵母をロシアの宇宙船ソユーズで国際宇宙ステーションに運び、10日間培養した。
高知県酒造組合には、宇宙酒…