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捕虜のロシア将校、取材に応じる 「戦争の大義はわからない」

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ドニプロ=杉山正
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 ウクライナ中部ドニプロ郊外の工場地帯に、高さ4メートルの塀と有刺鉄線に囲まれた収容施設がある。中にいるのはロシア軍として戦った兵士らだ。2月上旬、ウクライナの情報機関・保安局が朝日新聞に取材許可を出し、施設に入った。

 頑丈な鉄格子の門を三つくぐると、いくつもの監視カメラが天井などに据え付けられていた。

 監視役は取材場所として、小部屋へ案内した。ロシア兵らが1人ずつ、ここで取材に応じるという。

 ロシア兵に取材するのは難しい。そもそも戦場にいて近づけないし、ロシア国内では取材に大きな制約がある。どうしたら肉声を聞けるのか。捕虜となったロシア兵への面会許可が下りたのは2月上旬だった。朝日新聞では初めての取材だった。捕虜の収容施設で驚かされたのは、ロシア側で戦った「ウクライナ人」にも出会ったことだった。

娘から届いた手紙

 最初に入ってきたのは両手を後ろに組んだ大柄の男性だった。ウクライナ当局によると、男性はロシア軍の将校。手錠はしていないが、施設内では許可がない限り手を後ろに組む決まりなのだという。

 名前や顔写真を出さないことを条件に取材に応じた。監視役は誰も取材に同席しなかった。

 男性は、ニックネームとして「バギーラ」と名乗った。35歳でロシア西部の出身という。眼光は鋭く、取材中に一切、表情を変えなかった。

 ウクライナ北東部ハルキウ州…

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