「130万円の壁」簡単に打開できない働き損 優遇されるのは誰だ

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村井隼人

 「年収130万円の壁」の解消に向け、岸田文雄首相が制度を見直す考えを表明した。パート勤務の人の年収が一定以上になると配偶者の扶養から外れて「働き損」となってしまう問題は、長年解決されずにきた。どんな打開策がありえるのか。政府の関係者にあたると、一筋縄ではいかない現状が見えてきた。

 「総理が言っているからには何らかの解を出さないといけないのだろうが、何十年と考えて、何も答えがない状況だ」

 先月、岸田首相が国会で「制度を見直す」と答弁するのを聞いた厚生労働省の幹部は、そう話す。

 130万円の壁は、会社員らの配偶者に扶養されている人がパートなどで年収が130万円を超えると、扶養から外れる基準。扶養に入っていれば医療や年金の保険料を負担しなくてすむが、扶養から外れると、自分で社会保険料を負担するため、せっかく労働時間を延ばしても、手取りが減る「働き損」が生じてしまう。それを避けようと、パートで働く時間を短く調整する。これが「年収の壁」と呼ばれ、女性の就労を阻害する要因とされてきた。

かさ上げ案、仕組みをなくす案、時限的補助案…働き損はどの程度に?

 壁はどうすれば解消できるのか。

 最も単純な解消方法は、壁の…

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