〝天才少女〟ではない仲邑菫三段、母の幸さん「娘はくさらなかった」

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大出公二

 囲碁の仲邑菫(なかむら・すみれ)三段(13)の史上最年少のタイトル獲得がかかる、第26期女流棋聖戦三番勝負の最終第3局が6日午後1時、始まった。大勝負を前に、母の幸(みゆき)さんに心境を聞いた。娘の勝利を願いつつも、「強くなることを求めるのであれば、負けたほうがいいかも」という。なぜか。

 相手は上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(21)。昨年、日本の女子初の世界タイトルを獲得し、女流棋聖戦では3連覇をねらう。仲邑は第1局に敗れたが、カド番の第2局を大逆転でタイに戻し、決着を第3局に持ちこんだ。

 4年前の1月、小学4年生の仲邑はプロ入り発表会見で「中学生のうちにタイトルを取りたい」という目標を掲げた。それが現実になろうとしているいま、仲邑が3歳のときに碁を教え、支え、励ましてきた幸さんの思いを聞きたかった。幸さんはプロ入りからしばらく娘に代わって取材に応じていたが、最近は表に出ず裏方に徹している。

 決戦直前の2日、別の棋戦の対局で東京・市ケ谷の日本棋院に向かう仲邑に付き添った幸さんの帰りを待った。そこで返ってきた答えが「負けたほうがいいかも」だった。わけを聞いた。

仲邑菫三段は「天才とはまったくかけはなれている」という母の幸さん。なぜ、どのようにして強くなったのか。対局のたびにかけてきた言葉があるといいます。

 「いまは結果より力をつける…

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