荒井首相秘書官を更迭へ 性的少数者への差別発言に首相「言語道断」

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 岸田文雄首相は4日朝、性的少数者同性婚をめぐって差別的な発言をした荒井勝喜・首相秘書官について、記者団に「言語道断だと思っている。厳しく対応せざるを得ない発言だ。進退を考えざるを得ない」と述べ、更迭する考えを明らかにした。

 荒井氏は3日夜、首相官邸で記者団の取材に、性的少数者や同性婚をめぐって「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと発言。その後「やや誤解を与えるような表現をした。撤回する」と釈明したが、首相周辺による差別的な発言に批判が相次いでいた。

首相「政権の方針とは全く相いれない」

 首相は「岸田政権は持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指すということを申し上げてきた。今回の荒井秘書官の発言はそうした政権の方針とは全く相いれない」と説明。更迭に向け「至急具体的な対応を考える」と述べた。

 複数のメディアによると、荒井氏は3日夜、官邸でオフレコを前提にした取材に対し、同性婚について「見るのも嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」という趣旨の発言をした。

 荒井氏は3日に改めて記者団の取材に応じ、「見るのも嫌とは言っていない」と一部は否定したものの、発言をおおむね認めた。発言は「個人的な意見」とした上で、「やりとりの中でちょっと大きく言ってしまった」「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら撤回する」などと語った。首相は4日に石川・福井両県を視察で訪問。荒井氏は同行する予定だったが急きょ取りやめた。

演説執筆やメディア対応 スポークスマン的役割

 荒井氏は経済産業省出身。同省総括審議官や商務情報政策局長などを経て、2021年10月の岸田政権発足と同時に首相秘書官に就いた。広報を担当し、演説の執筆やメディア対応など、首相のスポークスマン的役割を担っている。

 首相は同性婚の法制化をめぐり、1日の衆院予算委員会で「社会が変わってしまう課題」などと慎重な姿勢を示していた。

 岸田政権では昨年12月、杉田水脈(みお)・総務政務官が「男女平等は絶対に実現しえない、反道徳の妄想だ」「女性差別は存在していない」といった過去の国会での発言や、「LGBTには生産性がない」などとする月刊誌への寄稿が問題視され、事実上更迭された。

 また、昨年には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が次々と明らかになった山際大志郎経済再生相、死刑執行を軽口に使った葉梨康弘法相、政治資金や選挙活動をめぐる問題のあった寺田稔総務相、政治資金問題などが指摘された秋葉賢也復興相の閣僚4人が相次ぎ辞任。首相は先月の施政方針演説で「今後、こうしたことが再び起こらないよう、様々な改革にも取り組んでいく」と述べていた。

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    望月優大
    (ライター)
    2023年2月4日9時50分 投稿
    【視点】

    荒井氏が『「見るのも嫌とは言っていない」と一部は否定した』とありますが、かの発言は「記者団の取材」に対してなされており、すでに「複数のメディア」によって「見るのも嫌だ」と言ったと報じられているわけですから、荒井氏の「見るのも嫌とは言っていな

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年2月4日10時1分 投稿
    【視点】

    荒井秘書官発言は差別そのものであり、秘書官どころか「全体の奉仕者」たる公務員としても容認できません。 秘書官を罷免されても、経済産業省に戻るのでしょうが、経産省が対象とする経済産業分野でもLGBTsの方々は活躍されています。 い

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