同性婚「社会変わってしまう」 首相発言に専門家「差別肯定と同じ」
同性婚の法制化について、岸田文雄首相は衆院予算委員会で否定的な考えを示した。自民党はもともと消極的だが、首相はその理由として「社会が変わってしまう」ことをあげた。いまは同性カップルへの理解が深まり、多くの自治体が同性パートナーシップを公証する制度をもつ。首相の認識のズレに反発が強まっている。
発言は1日にあった。立憲民主党の西村智奈美代表代行が法制化を求めたのに対して、首相は「極めて慎重に検討すべき課題だ」と述べた。その上で「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だからこそ、社会全体の雰囲気にしっかり思いをめぐらせたうえで判断することが大事だ」と強調した。
現実の社会はむしろ、同性カップルへの理解が深まる方向に変わってきている。朝日新聞の世論調査では、1997年には同性愛を「理解できない」が65%を占め、「理解できる」の28%を大きく上回っていた。2021年には同性婚を「認めるべきではない」は22%にとどまり、「認めるべきだ」は65%にのぼった。
こうした世論に押されるような形で、現在では250以上の自治体が同性パートナーシップを公証する制度を持つ。人口比率にして6割をカバーするほどだ。同性婚を認めない民法などの規定について、札幌地裁は違憲と指摘する。
首相発言に立憲の安住淳国会対策委員長は2日、記者団に「すでに社会、世界の意識は変わっている。古い制度に固執するから社会がおかしくなっている」と批判した。SNS上でも「本来認められるべきことが認められていない」「当事者への想像力も、人権への配慮もない」といった反発が相次いでいる。
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