自由な名づけ文化は終わり?変わる戸籍法、「新作」も消えるか聞いた
海(マリン)、椛(イロハ)といった名前の読み方は、辞書に載っていなくても、次々と生まれています。これに対し、「一般に認められているものでなければならない」という規定が法律に設けられる方向になりました。「キラキラネーム」を含め、自由な名づけ文化は閉ざされてしまうのでしょうか。法制審議会の部会のメンバーで、命名文化に詳しい笹原宏之・早稲田大社会科学総合学術院教授に聞きました。
――命名とはどういうことなのでしょうか。
社会では個人を識別するための記号ですが、名付け親からすると、子を個人と認めて幸せを願い、同時に社会性をもたせるために発音と表記を与える営みといえます。日本の場合、漢字を使う・使わないという選択肢があり、漢字には読み方が多く、意味もイメージもくっついてくるので、とても複雑になっています。全部を含めて命名といいます。
名前で使える漢字は、戦後に戸籍法で「常用平易な文字」と定められ、2999字あります。「常用平易な漢字とは何か」については議論されてきた歴史があって、2004年に大幅に追加されました。例えば「苺(イチゴ)」ちゃん。00年ごろ、この漢字を使いたいという人が日本中にいましたが、当時は使えませんでした。
戦前は漢字をつくってもよく、考えたとおりに読ませる人もいました。そういう自由なところから、戦後に一転して規制がかかり、名づけと法令は着地点が定まらないまま時代が変化しつづけ、今もその過程にあるといっていいのでしょう。
名前には特殊な読み方 新作も続々
漢字には音読みと訓読みがあります。ほかにも、名前に使われる特殊な読み方もあり、平安時代からつい最近まで、時代に応じて、さまざまな「新作」が生まれていると言います。最近の新作「椛」はどのように読むのでしょうか。「キラキラネーム」の未来はどうなるのでしょうか。
「海」→「マリン」はすでに千人 名字「小鳥遊」への指摘はなし
――名前だけに使われる読み方もありますね。
漢字には、音読み、訓読みがあります。例えば、「和」ならば音読みで「ワ」、訓読みで「ナゴ」むなど。誰かが「和子(カズコ)」と読ませて、いつの間にか「カズ」が広がって定着し、「名乗り訓」となりました。平安時代からあったようで、その時代においては新作だったのです。そう読まれる理由について定説はないのですが、人々の心を捉えた読み方といえます。
戦後の新作でいえば、例えば…
- 【提案】
■「キラキラネーム」廃止論 すべて命名の想いを大切に 何でもかんでも「キラキラネーム」と呼ぶのをやめにしないか。一見、変わった読み方や漢字だったとしても、親たちにとっては、必死に考えた結果かもしれないのだ。親が子供にその意図を明確に説明
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