クロツラヘラサギ、荒尾のため池で越冬中 絶滅危惧種

杉浦奈実
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 しゃもじのような形のくちばしを持ち、顔が黒い渡り鳥「クロツラヘラサギ」が熊本県荒尾市のため池で越冬中だ。雨上がりに青空が広がった1月下旬には、「ヘラサギ」と交ざって、岸辺で羽繕いをしたり、くちばしを羽にうずめて休んだりする姿が見られた。

 クロツラヘラサギはトキ科の渡り鳥で、夏は朝鮮半島やロシアなどで繁殖し、冬は日本を含む東アジアの各国で過ごす。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危機(EN)」とされているほか、環境省レッドリストでも絶滅危惧ⅠB類になっている。ただ、個体数は徐々に増えてきており、昨年1月の「世界一斉個体数調査」では、前年に比べ18%増の6162羽が確認された。日本で確認されたのは683羽で、熊本が最多だった。

 日本野鳥の会県支部によると、県内ではため池のほか、熊本港や河口などで2~3月ごろまで見られる。ここ数年、内陸部でも目撃が増えているという。「驚かせないよう、近づきすぎないで観察を」と呼びかけている。

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この記事を書いた人
杉浦奈実
くらし科学医療部|環境省担当
専門・関心分野
生物多様性、環境、科学