第11回日本は女性が輝けない? 海外永住者、女性が6割超の背景
日本から海外に生活の拠点を移す人の流れが静かに進んでいます。外務省の統計によると、増え続ける海外永住者の6割超は女性です。こうした現象に、どう向き合うべきなのでしょうか。移民問題に詳しい、メルボルン大の大石奈々・准教授に話を聞きました。
――豪州に移住した日本人について、2019年に「静かなる流出」と題した論文を発表しました。「静かなる」という言葉には、どういう意味を込めたのですか。
二つあります。一つは多くの人が知らないところで、これだけ多くの日本人が海外に流出しているということ。もう一つは、移住者が本当の移住の理由を話せないまま日本から出て行っているのではということです。
海外に移住する際、「日本を捨てるのか」といった否定的な反応を心配し、移住する本当の理由を黙ったまま出て行く人が多いと感じています。
永住者、女性の割合が年々上昇
――日本人の永住者のうち、女性が占める割合は6割を超えています。
女性の割合は年々上昇してきました。震災直後の13年は一時的に男性の割合が増え、女性の割合が減りましたが、その後はまた女性の割合が増えています。
その方たちがどんな方たちなのか、外務省の統計からは分かりませんが、日本人家族との移住や国際結婚などの増加に加え、キャリアアップなどを目的に海外へ移住した女性たちが永住権を取得しているのではないかと推測しています。
――日本は男女平等の達成度が低く、「ジェンダー後進国」と言われています。これが、理由の一つになっているのでしょうか。
私たちが豪州に移住した日本…