統合準備委「終了」 灘手地区委員怒り

奥平真也
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 鳥取県倉吉市立成徳、灘手両小学校の統合準備委員会が20日夜、市役所で開かれた。市議会が新校名を「成徳」と決めたことに不満を持つ灘手地区の委員から、準備委の「解散要求」があり、結局、この日で「終了」となった。市議会と市教育委員会に怒りをあらわにしたり、涙声になったりする委員もおり、重苦しい空気が流れた。

 市教委と、「成徳案」に賛成した山根健資市議が経緯を説明した。山根市議は「『打吹至誠』でいくと思っていたが、市内に反対チラシがまかれる、裁判になる動きもある、など不安定な状況が続きそうだった」「『成徳』なら、将来明倫小と統合する時に変更する余地がある。適当ではないかと賛成した」と話した。「議会が灘手地区に説明するべきだ」との委員の発言に対し、その用意があるとの考えを示した。

 灘手地区の男性委員は「新しい学校には行きたくないと訴える子もいる。どうするのか」と憤った。女性委員は涙声で「つらい中で、新PTAの役員に手を挙げてくれた人もいる」と保護者の戸惑いを語った。

 その後、灘手地区委員の総意として「解散要求提案書」が出された。提案書は「統合3校の現校名は付けないと当初から合意したにもかかわらず『成徳小』と決められた」と市議会を批判。これまでの「議論が全部否定され、『統合準備委には任せられない』という意見だと受け止め、本委員会の存在は不要であると考える」としていた。

 山口明茂委員長(成徳地区)は「まだできることはある」と反対したが、同調する声は出ず、「解散という言葉は重い。『終了』でどうか」と提案した。異論は出なかった。

 市教委が準備する新しい校歌と校章が紹介された。どちらも校名は使われておらず、採用するかについては市教委に一任された。

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 終了後、灘手地区委員の坂本操・副委員長は取材に対し、「議会の決定には不服。3校の名は使わないということで始めたのに、住民は怒っている。子ども抜きで大人同士の争いになった。市教委も人ごとのようで腹が立った」と怒った。

 坂本副委員長によると、保護者の中から「わざわざ成徳に行かなくても他の小学校に行けばいい」という声まで出ているという。

 小椋博幸教育長は「両地域の折り合いを大事にしてきたつもりで、それがリーダーシップを発揮できていないととらえられたのかもしれない。子どもへの影響については、一人ひとりの状況をよく確認したい」と話した。(奥平真也)

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 成徳・灘手両小学校統合問題 児童数減少のため、倉吉市教委は成徳、灘手、明倫の3小学校統合を決定。先行して成徳、灘手の2校を今年4月に統合することにし、校舎は現在の成徳小とした。成徳、灘手両地区の代表や保護者らでつくる統合準備委員会は新校名を「至誠」と決め、昨年9月定例市議会で校名を定めた条例案が可決された。

 その過程で、公募に寄せられた校名案が「至誠」1件に対し、「打吹」が150件だったことなどが浮上。市民有志が署名を集めて条例の廃止を市に直接請求し、12月定例市議会で条例は廃止された。これに伴い、統合準備委は両案を合体させて「打吹至誠」と決定。1月17日の臨時市議会に提案されたが、「成徳」とする修正案が議員提案され、8対7で可決された。

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