重要湿地にリニア残土 受け入れに反対の声相次ぐ 岐阜・御嵩町

保坂知晃 本井宏人
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 岐阜県御嵩町リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う残土の受け入れ計画について、町主催の公開フォーラムが21日、町内であった。美佐野地区にある国選定の重要湿地に残土を処分する計画を巡り、湿地の保全のため、見直しを求める声が参加者から相次いだ。

 町内にあるのは「美佐野ハナノキ湿地群」。環境省が「絶滅危惧Ⅱ類」に指定するハナノキなどの希少植物が分布している。

 町はこの日、専門家に確認した結果、残土受け入れの候補地を取り囲む一帯の丘陵地が重要湿地だと考えていると説明した。これまでは候補地の一部に重要湿地が含まれるとの認識を示していたが、改めた。

 JR東海は、ハナノキの群生地は回避し、幼木は移植する計画を改めて説明した。担当者は「すべてを残せないが、残せるものは残して、全体として今の状態よりも良くできると考えている」と話した。

 参加者からは「湿地を守るのが行政の仕事だ」「残土を置かないという決断はできないのか」と計画に反対する声が相次いだ。

 受け入れの目的を問われた渡辺公夫町長は、受け入れ候補地は工業団地の造成のため、前町長の時代に町が買い取った土地だとし、「前町長の意思を引き継いでいる」と説明した。

 町は、環境省が美佐野地区の重要湿地の選定を公表した2016年4月までには、残土の受け入れ候補地に重要湿地が含まれると認識していた。しかし住民には公表せず、朝日新聞の報道後の昨年11月の公開フォーラムで初めて説明した。

 環境省は「存在を公にすることで盗掘のリスクが高まる」として、美佐野地区の重要湿地の名称は明らかにしておらず、住民が重要湿地に選ばれたことを知るのは困難な状況だった。

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