ネット上の「ゲーム的政治運動」 女性支援団体への攻撃にみる危うさ

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藤田直哉のネット方面見聞録

ネットはいまや、現実の社会や政治に影響を及ぼしています。私たちに重大な意味を持つネット上の現象を中心に、文芸評論家の藤田直哉さんが論評する連載です。

 虐待や性被害などに遭った女性を支援する一般社団法人Colaboが、暇空茜(ひまそらあかね)というハンドルネームの人物によってネット上で攻撃を扇動されている。この事件は、現代日本における「ゲーム的政治」の大きな分水嶺(ぶんすいれい)になるかもしれない。

 暇空は、Colaboの東京都からの委託事業などについて、「補助金の不正受給、生活保護不正受給、未成年誘拐あたりは普通に問題」と、YouTubeなどで拡散した。それを信じた多くの人々が、ネット上で非難を繰り広げている。背景には、「萌(も)え」的なイラストが性差別や性搾取を助長するのではないかと問題提起してきたフェミニストたちと、それに反発する「“表現の自由”戦士」と呼ばれる人たちの対立がある。

 Colabo側は昨年11月、デマや誹謗(ひぼう)中傷を繰り返したとして損害賠償を求め暇空を提訴。一方、暇空による住民監査請求は昨年末、都監査委員によってほとんどの指摘が「妥当でない」と結論が出た。ただし、一部の精算には「不当な点がある」として都に再調査を勧告した。どちらの言い分が100%正しいとも言い切れないようだ。

 注目すべきは、暇空らのゲー…

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