コロナと3人の首相 「複合危機」時代、科学の声を政治に届けるには
2020年1月に新型コロナウイルスの感染者が国内で初確認されてから3年が過ぎました。この間、3人の首相が、専門家が持つ科学的知見と向き合い、コロナ対策に取り組みました。見えてきた政治の課題は何だったのか。あるべき政治と科学の関係とはどんなものなのか。東京大学先端科学技術研究センターの牧原出教授に聞きました。
――新型コロナの感染者が国内で初確認されて以降、安倍晋三元首相、菅義偉元首相、岸田文雄首相の3人がリーダーとして対応してきました。3人の首相と専門家との関係をどう見ますか。
感染初期の安倍元首相のときは、新型コロナがどういうものか、よくわからない状態でした。
懸命に対応しましたが、政治が専門性をやや侮っていた、と感じます。学校の一斉休校やマスクの配布が象徴的です。以前の政権運営の実績から、過信したのだと思います。
専門家の多くは「コロナの収束に数年はかかるだろう」とはっきりと言っていました。
ですが、安倍政権はコロナの収束には長い時間を要するかもしれないという感覚を持てていなかったように感じます。東京五輪も「1年延ばせば(開催できる)」と言っていました。
――菅元首相はどうでしょうか。旅行支援策「Go To トラベル」や東京五輪で専門家と意見が割れることもありました。
3人の首相の中では、多様な専門家の声を聞こうと努力していたと思います。専門家と会うことを好んだと聞いています。
専門家と言っても感染症分野だけではなく、観光業界や東京五輪に関するスポーツ業界の専門家もいます。そうした多様な専門家が、それぞれの意見を出したときに、どう調整するかがよく分からず、国民の不信を招きました。
政権は全体的に、経済を動かすことも考えましたが、日本人は世界でもまれに見るほど安全志向が強くて、冒険を好みませんでした。
「Go To トラベル」が典型ですが、説明が足りないから「なぜ続けるのだ」と疑問が出て、撤回せざるを得なくなりました。
――現在の岸田政権はどうでしょうか。昨夏の「第7波」では、濃厚接触者の療養期間の短縮の決定をめぐり、専門家との議論がなかったことに尾身茂・コロナ対策分科会長が政府に苦言を呈しました。専門家の有志が独自に、全数把握の見直しなどを求める提言を発表したこともありました。
21年冬の岸田政権発足時は…
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- 【解説】
自分のインタビューですが、補足しておいてもよいかと思い、ここにあえて書き込ませて頂きます。やや唐突に勧告権が必要という流れになっており、これまであまり議論されていない論点でもあるためです。 新型コロナの感染拡大が長期化する中、心配され
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