津軽線、蟹田―三厩間のあり方検討 JRと自治体が初協議
昨年8月の大雨で被災し、不通が続くJR津軽線の蟹田―三厩間について、沿線の自治体とJR東日本が、復旧や維持・管理のあり方について協議する検討会議の初会合が18日、青森県外ケ浜町役場で開かれた。JR東は、BRT(バス高速輸送システム)の導入も含め、期限を設けず検討していくとした。
蟹田―三厩間は、昨夏の大雨で線路下の盛り土が流失して不通の状態で、バスやタクシーで代行運転をしている。JR東日本盛岡支社の久保公人支社長は昨年12月の会見で、鉄道以外も含めた復旧方法を検討する方針を明らかにし、地元自治体などと協議を始めるとしていた。
この日の会議には、沿線の今別、外ケ浜両町や県、JR東日本盛岡支社、東北運輸局の関係者計約20人が参加した。
JR東から津軽線の被災状況について説明があり、「工事に着手するのは雪解け後で、工期は少なくとも4カ月が必要。復旧費用は6億円程度かかる」との見通しが示された。
そのうえで、復旧する場合の費用はJR東が全額負担するとしたが、その後の維持・管理費の負担は「今後の検討事項」とした。
利用状況については、蟹田駅の北隣の中小国駅から三厩駅の1キロあたりの1日の平均利用者数が約30年間で74%減少し、2019年度は107人と県内で最も少ないと説明。「鉄道の特性である大量輸送という役割が発揮できていない可能性がある」と述べた。
これに対し、県は「利用者数の減少の要因については、乗り継ぎの利便性も含めた検証が必要だ」と指摘。両町の担当者は「津軽線は通学や通勤など地域の重要な交通手段。住民の声を大切にして、方向性を検討してほしい」と求めた。
会議後、JR東日本盛岡支社の松野文一・地域連携推進室長は「復旧をする、しないという前提は置かずに、地元の声に耳を傾けながら議論を進めていく」と語った。
今後は、鉄道の維持・管理にかかる費用負担のあり方や、BRT導入の可能性を協議。2月以降、JR東による住民説明会や津軽線の利用者へのアンケートを実施し、地域交通のあり方を検討していく。
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JR東日本は昨夏、利用者が少ない地方路線の収支を初めて明らかにし、昨年11月には2021年度の収支や利用者数も公表。県内の路線も軒並み厳しい状況が明らかになっている。
津軽線の中小国―三厩間の1キロあたりの1日平均利用者数(輸送密度)は21年度は98人と、100人を割った。収支は5億8700万円の赤字だった。
100円の収入を得るためにかかる経費(営業係数)は8582円に上り、運行コストに対して運賃収入がどれだけあるかを示す「収支率」は1・2%と、県内の路線で採算が最も厳しい区間となっている。
このほか、津軽線の青森―中小国間、奥羽線の大館―弘前間、大湊線の野辺地―大湊間、五能線の能代―深浦間と深浦―五所川原間、八戸線の鮫―久慈間も輸送密度が1千人未満と低迷。赤字額も10億~24億円程度に上る。
大湊線をめぐっては昨年12月、むつ市などの沿線自治体が協議会を設置し、利用促進や活性化について検討を始めている…
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