イタイイタイ病 民衆から考える ジャーナリストら本出版
富山市内を流れる神通川流域で発生し、国内初の公害病に認定されたイタイイタイ病。何世代にもわたり病に苦しんだ人々など、これまで見落とされてきた「民衆」に焦点を当てた「神通川流域民衆史」(能登印刷出版部)がこのほど出版された。
18日、同市内で出版発表会があり、著者3人が思いを語った。
執筆したのは、イタイイタイ病研究会幹事の向井嘉之さん(79)=富山市=、原告患者・小松みよさんの生涯を題材に一人語りを続ける金沢敏子さん(71)=富山県入善町=、発生源となった神岡鉱山(岐阜県)の影響について調べる僧侶の高塚孝憲さん(75)=富山市。
「神岡鉱山がどんな場所で、住民や労働者がどんな状況に置かれていたのか。民衆の立場から目を向ける必要があると思った」。向井さんはそんな問題意識から多くの史料に当たった。すると、開山した当初は、地元の人たちが強い危機感を持っていたことがわかったという。
しかし、煙害や鉱毒による被害への抗議の声は続かず、戦時中には亜鉛の産出において「頼みの綱」となるなど、地元にとって大きな存在になっていった。向井さんは「民衆の声を聞き、あの時に対策を打っていれば」と指摘する。
金沢さんは、イタイイタイ病の被害をめぐり、新たな証言の発掘に力を入れてきた。4世代にわたり、様々な症状に苦しんだ家庭の存在を明らかにした。「同様の家庭はほかにもあったはず。なぜこんなに長く苦しまないといけないのか。なぜここまで放置されてきたのか。改めて憤りを感じた」と話す。
高塚さんは、鉱石から鉛や亜鉛を取り出した後の「鉱滓(こうさい)」を集めた堆積(たいせき)場の存在が知られていないことを危惧し、「国は安全に保管するというが、このままにしていいのか。考える必要がある」と投げかけた。
本はA5判320ページ。1980円(税込み)。県内の書店で購入できる。
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