津波で流された干潟の生き物、7年後ほぼ元通り 研究者も驚く回復力

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福岡龍一郎

 震災で生き物が減った仙台湾周辺の干潟は、7年後にはほぼ元通りに――。そんな研究成果を東北大学大学院の研究チームが公表した。干潟自体が削り取られたところがあったものの、「ここまで回復が早いとは」と研究者は驚く。

 同大大学院の占部城太郎教授(生態学)の研究チームは、震災後の2011~19年、仙台湾に点在する蒲生(仙台市)や鳥の海(宮城県亘理町)、双観山(松島町)など六つの干潟の計8地点に生息する生き物の種類と数を定点観測した。延べ500人のボランティアが協力した。

 海と川の水が混じり合う干潟には、エサとなるプランクトンや有機物が多い。震災前、蒲生では小さな巻き貝のカワザンショウガイ、双観山ではイソギンチャク類や魚釣りのエサになる環形動物のゴカイの仲間が多く見つかるなど、それぞれに特徴があった。

 ただ、震災直後の11年5~8月、8地点のうち5地点で生物の減少を確認。高い津波が襲った場所ほど減少は激しく、約9メートルの津波が到達した松川浦(福島県相馬市)では、39種いた生き物が16種に。岩にこびりつくマガキやフジツボ類、泥の中で生活するミズヒキゴカイがいなくなった。

 翌12年の調査で、松川浦では元々いなかったイシガニなどが見つかった。本来沖合に生息する生き物たちで、津波で運ばれてきたという。「干潟の生態系が大きく変わり得る可能性があった」と占部教授は指摘する。

 ただ、13年ごろには、松川浦から姿を消していたフジツボ類やミズヒキゴカイなどが、再び見つかるように。蒲生でも18年ごろからカワザンショウガイが観察できるようになった。

 この頃までには、ほぼ全ての干潟に震災前の生き物が戻り、生態系が回復したという。

 なぜ生き物たちは戻ってくる…

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