第3回ダイヤも家も買ったのに 在宅勤務で妻にいら立ち、夫は離婚を決めた

有料記事コロナ3年 人生が変わった

伊藤和行

 2人の出会いは10年前だった。東京都渋谷区のシステム開発会社部長の男性(36)は当時、好きな音楽やゲームのことをツイッターで発信していた。フォローしてくれたのが8歳下の女性だった。

 3年後、男性は当時勤めていた会社が倒産し、同居していた元部下に貴重品を持ち逃げされ、孤独な30歳の誕生日を迎えていた。

 そんな時、女性から突然、パソコンに「誕生日おめでとう。元気にしている?」とメッセージが届いた。

 フォロワーの一人で会ったことはなかったが、寝る間もなく働いていることや、うまくいかない人生の不安を、電話でじっくり聞いてくれた。

 「自分の弱さを分かってくれる人だった」

 年2~3回、東京で会うようになり、付き合い始めた。

ダイヤの指輪で「令和婚」

 交際して1年半後。男性は1カラットのダイヤの婚約指輪を買い、女性の実家にあいさつに行った。

 元号が「令和」になった2019年5月1日未明、役所に婚姻届を出した。男性は32歳、女性は24歳の「令和婚」だった。

 地方の専門学校を出た妻は、初めての東京暮らし。渋谷や原宿に買い物に行ったり、ディズニーランドに行ったりと、新婚生活を楽しんでいた。ウェブ広告会社でのアルバイトも始めた。

 将来はアウディを買おう。子どもは女の子がいいね。そんな夢を語り合った。

 緊急事態宣言が出た20年の春。男性も妻も在宅勤務となった。

 仲むつまじかった夫婦の関係が、在宅勤務をきっかけにきしみ始めます。妻はうつになり、男性はあの手この手で支えます。しかし……。

 部屋は、1LDKのアパート…

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この記事を書いた人
伊藤和行
那覇総局長
専門・関心分野
沖縄、差別、マジョリティー、生きづらさ

連載コロナ3年 人生が変わった(全19回)

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